岡本ふたり歩き 3 
 
 旧小阪邸には、いくつもの和室や洋室、そして立派な回遊式庭園がある。それなのに、私が一番興味を惹いたのは、2階建ての内倉だった。

 廊下から一段高い場所に設けられた防火扉は、鉄製で重々しい。なかには実際に使われていたのであろう箪笥などが並んでいる。奥の窓がかろうじて外との世界を繋いでいるが、ここも当時は閉まっていたはずだ。

 密閉された空間には、小坂家の大切な品々が保管されていたに違いない。不気味さを感じると同時に何とも魅惑的なのは、過去を生きた人々の想いが詰まっているからかもしれない。
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