伊勢原の彼岸花 4
 日向薬師旧参道の入り口にこぢんまりと見える、白髭神社。石段を上れば目の前は本殿という、至ってシンプルな作りが潔い。
 薬師三尊像を彫るための霊木を提供し日向薬師の開山に協力したとされる若光を守護神として祭るとともに熊野権現という神様を勧請したことが、白髭神社の始まりだという。日向薬師と関連の深い場所だからか、ここでも立派な茅葺きの屋根が葺かれ、野趣に富んだたたずまいは相通ずるところがある。

 本殿の前には、あけびが1つ。何でも秋のお彼岸にあけびをお供えすると、先祖の御霊が“あけびの船”に乗ってくるのだそうだ。
 私は昔から、あけびが怖かった。あの、突然2つにパカっと割れるところ、そのグロテスクとも言える強烈な姿が。家族が買ってきても手をつけたことはなかった。それなのに、これが薄紫色の小さな船だと想像した途端、愛おしく思えてくるのだから不思議だ。
 今年は思い切ってあけびを食べてみようか……。そんなことを思った。
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