伊勢原の彼岸花 3
 私の部屋のフォトフレームには、だいぶ前から彼岸花が咲いている。

 数年前、皇居のお堀沿いで撮影した1枚の写真。燃えるように真っ赤な花、木々の緑、キラキラと輝く水面のコントラストが美しく、時々思い出したように手にとっては、ついつい見入ってしまう。私にとって彼岸花は、この写真がすべてだった。

 しかしここ伊勢原で、都内では見ることのできない景色を見た。小高い丘にひっそりと存在する、森のなかのような空間。これは夢か幻か。
 一点の曇りもなく清らかな光景なのにどこか影を感じさせ、その不気味さが、彼岸花の美しさをより際立たせている。

 まるでおとぎ話の1カットのようで、しばし夢見心地になった。
前へ 次へ
もくじへ