伊勢原の彼岸花 1
  彼岸花を観に行く前に、ちょいと食料調達。向かった「Benoiton」は、国産小麦を石臼で挽き、自家製の小麦粉を作るパン屋として広く知られ、遠方から訪れるファンも多い。

 私の持論では、おいしいパンは大きく2通りに分けられる。毎日でも気軽に買える素朴なパンと、重厚で噛むごとに味わいの広がるパン。両者をくらべることはできないと思っていたけれど、この店には双方のいいとこ取りをしたような魅力がある。店内にところ狭しと並ぶパンは、「ショコラパリ」から「焼きそばパン」まで幅広く、価格はコンビニ並み。私もついつい、トレイを山盛りにしてしまう。

 彼岸花の咲く丘で、紙袋を開ける。懐かしさを感じさせる揚げパンも、噛み応えがあるバケットも、ぎっしりとカレーを詰めて焼いたカレーパンもいい。デザート代わりのオレンジデニッシュは、輪切りのオレンジの下にカスタードとオレンジの房が隠され、生地と酸味が口のなかで絶妙に合わさる。

 どれもこれもおいしく、すっかり「花よりだんご」になってしまった。
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